その昔、バブルの頃の東京証券取引には大勢の人が働いていました。
わしもその中にいたことがありますが、当時でも4000人ぐらいの人が働いていましたからね。
東京証券取引所の職員、それから会員の証券会社の場立ちと言われる社員やそのサポートをする女性社員、そして才取会員と言う業務を行う会社の社員もいました。
もう古い話になってしまいますが、今回はその才取会員についてまとめてみたいと思います!それと完全にシステム化された後はどうなったのでしょうか?
東京証券取引所の才取会員とは?
才取会員とは東証の会員の証券会社と証券会社の注文を仲介する会員ですね。
大阪証券取引所では仲立会員と言っていましたが、やることは同じです。当然ながら名古屋証券取引所にも才取会員がいたはずですがわしはまったく記憶がありません。
そして東証で才取会員だったのは実栄証券と言う会社です。当時は第一から第四まで4つの会社に分かれていました。かつてすべて手商いでやっていた頃は12社もあったそうですけどね。
でも徐々にシステム化されたので、わしが取引所にいたバブル前期の頃には4社に統合された後でした。
この画像だと分かりにくいかも知れませんが、中央付近にある四角く区切られたブースの中にいるのが実栄証券の社員です。あと東証の職員もいますけどね。
ちなみに東証の職員は独自に何かやることはあったと思いますが、不正が行われていないか監視する役目もありました。
証券会社の場立ちは手サインや注文伝票で注文を受けるとこのブースのその銘柄を担当している実栄証券の社員の所に行って、例えば日立を成り行きで1000株売りの注文でしたら「日立成り行き1000株売る、〇〇番」と言います。
そうしたら実栄のおっさんが「日立〇〇円で1000株買った、〇〇番から」と言って売り買いが成立します。この〇〇番は数字ですが各証券会社に割り当てられていました。
個人的にはあまり良い印象は・・
ただ大変失礼ではありますが、個人的には実栄証券の社員にはあまり良い印象はありません。正直に言えば、わしが場立ちが嫌だった理由の大半は実栄証券の社員が気にいらなかったからです。
親切に指導して下さる方もいる反面、中には威張るし態度は横柄だわ何かあれば怒鳴るおっさんもいました。「こっちが客じゃねーか」と思ったりしたものです。
ムカついて口喧嘩程度は何度もしました。もちろん非常識な、今で言うパワハラめいたことをしていたおっさんはごく一部ですけどね。
それにわしもまだ若くて非常識で無愛想だったと言うのもあると思います。それでもこれぞ殿様商売!と言う感じでしたね。
しかし何であんなに上から目線だったのですかね。「俺たちがいないと証券業界が成り立たない」ぐらいのことを思っていたのでしょうか。
それからアナログの部分が残っていた頃は、不正行為も横行していたなんて話もありました。一部の実栄の社員が地場証券の場立ちのディーラーと組んで、売り買いの注文を作って利益を供与してたらしいです。
わしのいた会社のおっさんらもよく「あいつら汚いことしやがって」とか「真面目にやってるのがバカらしくなる」と言っていました。東証のおっさんも見て見ぬふり?
ただ実際はどうなんでしょうね。そりゃ半アナログ時代なら出来ないことはないと思いますが、まあわしも詳しいことは分かりません。
ですのであまり触れないでおきますが、こちらのブログにも不正行為のことが紹介されていますね。
才取会員の実栄証券のその後は?
ただ実栄証券その後はどうなったのでしょうか?まあ別にどうでも良いことではございますが・・
調べてみたら、2001年に転換社債が完全システム取引化したことによって解散となったとのこと。そして解散後、ブライト証券と言うディーリングと投資信託を販売する会社を設立したそうです。
ですので一部の社員はブライト証券に転籍し、それ以外の大半のおっさんたちは割増の退職金をもらって去っていったそうです。
ただそのブライト証券も平成21年に日本証券業協会から脱退しています。ホームページはありますが、それを見てももう業務をやっていないみたいですね。
でも「実栄証券 廃業」とか「実栄証券 解散」とかで検索してもあまり情報がありません。実際に中で働いていた人の話とか出て来てもおかしくないと思いますが。
何でですかね。業界全体としてもなかったことにしたいのでしょうか。それか2001年のことですからもうひと昔前のことかも知れませんね。
しかしあのおっさんたちこそ困ったでしょうね。
最後に・・
今回はかつて存在した東京証券取引所の才取会員だった実栄証券を取り上げてみました!
最ももう過去のことですし、興味がある方も少ないと思います。それに知っていても何の役にも立たないですしね。
でも場立ちの経験者として思う所を書き残しておくのも悪くないと思います。まあおっさんのバブルの頃の昔話の1つと思って頂ければ幸いです。