株式投資を主なテーマにした漫画と言うとインベスターZなどが思い浮かびますが、そんなにはないですよね。
もちろんいろいろあるとは思いますが、仕手戦がテーマの漫画となるとほとんどないと思います。
その数少ない仕手戦の漫画が「銭華」です。今回、その「銭華」を読んでみました!なぜ読もうかと思ったかと言いますとウルフ村田さんがツイッターで紹介しておられたからです。
無料で読めますしね。もちろん違法サイトではありません。
それとせっかくですので「銭華」を読んだ個人的な感想をアップします!
銭華のあらすじ・ネタバレ
「銭華」は2002年頃の作品ですね。原作者はテレビドラマにもなった女帝や嬢王、夜王などの原作で有名な倉科遼先生です。先生はネオン者の第一人者と言われているそうです。
主人公の坂本千尋は高知県一の財閥、山之内家の当主の妾の母親と一緒に暮らしていました。でも母親が病気になってしまい、当主の息子は治療を受けさせる代わりに千尋の体を要求します。しかしロクに治療も受けさせて母親は死んでしまいます。
さらに昔、千尋の父親の事故死も千尋の母親を妾にするためだったことを知り、千尋は山之内家に復讐を誓います。そのために選んだのが株の世界ですね。
東京へ出て来た千尋は仕手筋として名をはせていた片山鉄造の投資顧問会社の試験を受け合格します。投資顧問会社の社員となった千尋は女の武器を使って片山やその他の仕手グループなどに食い込みます。
そして山之内家の息子を脅して得た1000万を片山鉄造が手掛ける旭一物産の株を買い、片山など仕手グループを出し抜き5億円を手にします。
その結果、片山の投資顧問会社にはいられなくなりますが、株の売買で順調に資産を増やし兜町の女相場師と呼ばれるまでになります。そして二世の代議士の選挙資金を手掛けることになり、それを知った片山は千尋を潰そうとしますがまたしても出し抜きます。
さらに高知出身の大物政治家の派閥の金庫番を務めるようになり、総理になった後はその愛人にもなります。そして山之内家の当主を土下座させ復讐も完了しますが・・
ブラックマンデーによりすべてを失い無一文になる、と言う千尋が女相場師として成功し、兜町の女帝となり、挫折するまでのお話ですね。
銭華を読んでみた感想
「銭華」の舞台バブル前夜の1980年からブラックマンデーがあった1987年までですね。
まず思ったのは、「懐かしい」でございます。わしが証券会社に就職したのが1985年、証券取引所にいたのが80年代の後半までですからね。
取引所はもちろん、証券会社が立ち並ぶ街の風景や、地下鉄茅場町駅の近辺などの描写はリアルですね!また証券会社の店頭や株価のボードなどもリアルです。ただ株価情報端末はダメですけどね。
それから千尋が旭一物産を売り抜けた時に「出来伝」と言う言葉が出て来ます。わしゃこの言葉を聞いたのが30年ぶり?ぐらいですわ。文字通り注文が出来た伝票と言う意味ですけどね。
1980年だとまだ電話注文だったんでしょうね。わしが就職した頃はさすがにマークシートで注文を出してましたが。
それからストーリーも絶賛するほどではないですが面白いと思います。当時の仕手筋は実際にこんな感じだったんでしょうね。もちろんそりゃ違うだろと突っ込みたくなる部分もありますが、まあリアリティと言う面でも問題ないと思います。
さすが倉科遼先生ですね!下手な経済小説より上だと思います。
ただ気になるのは全部で三巻しかないので話が端折りすぎだと感じます。もう少しじっくり話を進めてもらったらもっと良かったと思いますけどね。でも打ち切りになったと言う話もありますからね。株の漫画だと人気は出ないのかも知れないので仕方ありませんね。
それと無理にエロを詰め込まんでも、と思います。千尋のシャワーシーンぐらいで良いと思いますけどね。それときちんとした恋愛ぐらいしても良いのにねえ。
あとブラックマンデーがきっかけで千尋はすべてを失うわけですが、ブラックマンデーがきっかけでバブルが崩壊して行ったという説明があります。
これは違うでしょ。ブラックマンデーは1987年10月、日経平均が史上最高値を付けたのは1989年の12月ですからね。
まあ世間一般ではそう思われているのかも知れないですが、ブラックマンデーは今から思えば上昇局面の強烈な調整にすぎないと思います。
千尋のモデルの女相場師はいるのか?
ただ気になるのは主人公の坂本千尋にはモデルがいるのかと言うことです。倉科先生の作品にはモデルがいるものも多いですからね。
でもどうやらモデルと言えるような、女相場師はいないみたいです。と言うかバブル前夜からバブルの前期の頃でも女相場師と言えるような有名人はほとんどいなかったはずです。
いたとしたら尾上縫さんぐらいでしょうか。ただもう尾上縫さんと言っても知らない方の方が多いかも知れませんね。縫さんはバブル期に大阪で料亭恵川を経営し、北浜の女帝とか女相場師と言われた人です。でも巨額の不正融資事件を引き起こして逮捕されていまいますけどね。
縫さんの一連の事件は清水一行さんも小説にしていますし、何度もドラマ化されました。でもその縫さんも2014年頃、ひっそりと亡くなったそうです。またこちらのサイトによりますと晩年は刑務所で介護を受けていたようですね。
でも縫さんは千尋のモデルとは言えないような気がします。
ただ本当に資金力があって、相場を動かすような力を持った方は表には出てこないかも知れません。ですので知られていないだけでバブル期にも女相場師と言えるような方がいたかも知れませんね。
しかし今の時代の方が有名な女性トレーダーが多いと思います。最も相場師と呼ぶには少し違和感がありますけどね。
まとめ
今回は仕手戦をテーマにした漫画「銭華」のあらすじ、個人的な感想をアップしてみました!無料で読めますので興味がある方は読んで見て下さい!
突っ込みどころや?となる部分はあるものの、株式投資をやっている方なら十分楽しめる漫画だと思います。さすが倉科遼先生は一部を除き良くお調べになっておられます。
たださすがに今の時代に同じようなやり方は出来ないと思いますけどね。ですので今のネット時代の株式投資の勉強にはならないと思いますが、どうでしょうかね。
それともう少し話が長いと良かったと思います。続編があると良いのですが、さすがに難しいでしょうね。