先日、近所のブックオフに行っていろいろな本を見ておりました。
そうしたらドラマの原作の「しんがり 山一證券 最後の12人」が置いてあるではありませんか!値段も200円でしたので貧乏人のおっさんにはありがたいです。
ドラマの「しんがり~山一證券最後の聖戦」もそれなりのレベルの作品でしたが果たして原作の方はどうでしょうか?
もちろん悪いはずはないですが、せっかくですので読んだ感想と山一証券のしんがりメンバーのその後などについてアップしたいと思います。
ドラマとの違い~登場人物は実名
まず原作とドラマの違いですが、一番は主要な登場人物も実名だと言うことです。
そして細かい人となり、経歴まできちんと書かれています。よくOKが出たなとすら思います。
またあらすじとしては大きくは違わないでしょうが、当然ですが細かい設定は変更されていますね。本の題名にあるように、しんがりメンバー実際には12人でしたがドラマでは7人です。
それからドラマでわしが最も印象に残った有原元会長とのやり取りは、実際にはなかったようです。ホテルでの聴取は元社長とですね。元会長の方は証券取引等監視委員会との同席での聴取だったようです。
とは言ってもドラマのしんがりの方のセリフも良かったと思います。脚本家の方は良いシナリオを書いて下さったのではないでしょうか。
「しんがり 山一證券 最後の12人」を読んでみた感想
それで読んでみた感想でございます。
まああらすじと言うか基本的な流れも結末も分かっていることですからね。それでもいろいろと興味深い話がいくつも出て来ました。
ですでの当然ですが、やはり原作の方が中身が濃いですね。と言うか多少のフェイクや思惑、フィクションもあるでしょうが、基本的にはノンフィクションですからね。中身がリアルで濃いのも当然です。
先にも書きましたが登場人物は実名で、山一證券に入社してからの経歴もかなり詳細に紹介されています。そのためよりリアルに感じたのかも知れません。
で、4大証券の営業と言えばえげつない、人間の心がないような輩しか務まらないと思っておりましたがこの本を読む限りそうではないようです。
少なくともしんがりのメンバーは支店長時代でも無理な営業をせず、まともな営業をしようと頑張ってこられたようですね。まあ「比較的」と言う言葉は付くでしょうが。
ただ逆に言えばそうだからこそ、場末に飛ばされたと言うことなんでしょう。
それから日経平均が史上最高値を付けたのは1989年の暮で、1990年に入ってから下がり始めてバブル崩壊へとつながるわけですが、山一はすでに1990年の時点でかなりの含み損を抱えていたらしいです。
その頃は下がったと言ってもバブル崩壊とまでは行かないですからね。その時点でヤバかったならそりゃ持つわけないですわ。
むしろ1997年まで延命したのが凄いことかも知れません。
ただ破綻した当時の野澤社長のことはあまり良い書き方をされていないように感じました。野澤氏は決して無能な方でもないですし、イエスマンとかではなかったと思いますけどどうなんでしょうか。
まあ少なくとも人情味はあったと思いますし、その後も他社で社長を務めておられましたからね。
しんがりのメンバーのその後
それとしんがりを務めたメンバーの方たちも、やはり優秀な方ばかりですね。
山一證券全体から見れば場末の社員かも知れませんが、そこは腐っても4大証券です。山一證券が消えた後は結構、引っ張りだこだったみたいですね。
そりゃあの時点では場末にいたとしても元は営業本部長とか支店長をしていた方もいますからね。良いか悪いかは別として、営業力がなければ務まるわけがないですからね。ですのでしんがりのメンバーも50代になってからいくつもの会社で活躍されたようです。
その点はさすがですね。時代が違うとはいえ普通なら50超えたおっさんがおいそれと転職出来ませんからね。ただ他の業種に行っても証券界に戻った方が多いようですが。
また現在でも年に1度は集まったりしておられるようですね。残念ながら鬼籍に入られた方もいらっしゃいますが、本にはメンバーのその後の事にもそこそこ詳しく触れられています。
ただドラマ化されるにあたって主要メンバーは表には出て来たくないようです。まあ別に売名のためにやったわけでもないですし、もうい引退されている方もいますからね。
それから最後まで残らずに、さっさと見切りを付けて去っていった輩の方が多いわけです。もちろん生活もあるし、家族もいる方の方が多いでしょう。それにローンとか抱えている方もいるでしょうしね。
ですのですたこらさっさと泥舟から逃げ出すのを責めては行けないとは思いますが・・・やはり最後まで残ってきちんとケツを拭いたメンバーの方が人間として信頼出来ますよね。
最後に・・
しかし今さらですが、何で山一證券だけこんなに酷いことになったんでしょうね。
にぎり営業や飛ばしなんてどこの大手証券でもやっていたと思いますが。それに野村だって歴代の社長が逮捕されていますし実情は酷かったかも知れません。やはり他社は早めに手を打ったと言うことなんでしょうか。
山一證券もこの本を読む限り、まともな役員もたくさんいたようです。行平一派の失脚がもう少し早かったら生き延びれたかも知れませんね。
あとノンフィクションと言っても一方から見た話と言う面はあると思います。実際にはもっと複雑でいろいろと絡み合っていたんでしょうねえ。
でもどうあれ原作の方も楽しく読ませて頂きました。
とは言ってもドラマの方も改めて良く出来ていると思いました。この出来なら原作を読んで良いと思った方をがっかりさせるようなことはないと思います。
それから著者の清武氏は2017年11月に、再び元山一の社員のその後を取材した空あかり 山一證券“しんがり”百人の言葉と言う本を出版されます。
ここまで来たらこちらの本も読まないと行けませんな。