実話?ドラマ「しんがり~山一證券の最後の聖戦」の感想と評価!

「社員は悪くありませんから!」

1997年11月24日、テレビでは山一證券の破たんを伝える映像が何度も何度も流れていました。日本を揺るがした衝撃的な倒産劇にもいろいろあるでしょうが、山一證券の破綻も強烈なインパクトがあったのではないでしょうか。

当時の野島社長が会見中に発した社員は~と言うフレーズが話題を呼びましたよね。

その山一證券の破たん、そしてその後の残った社員たちの奮戦ぶりを描いたドラマが「しんがり~山一證券最後の聖戦」です。もちろんドキュメンタリーではなくドラマですからね。いろいろと変更されているでしょうし、尺も短いです。

それでも結論から言えばかなり面白かったです!

そこで今回はドラマ「しんがり」の個人的な感想と印象に残ったシーンなどを紹介します。我々個人投資家にとって直接参考になる部分は少ないですが、見て損はないドラマではないでしょうか。

倒産

「しんがり」のキャストと感想!

ドラマ「しんがり」の原作は清武英利氏の「しんがり~山一證券最後の12人」ですね。当然ながら実話が元になっているドラマです

キャストですが、主演は江口洋介さんですね。梶井常務取締役業務管理本部長を演じますが、江口さんも1967年生まれですから常務役もさまになる年になりましたね。

それから瀧本監査部次長を演じるのが萩原聖人さんです。萩原さんも失礼ながらおっさんになりました。その他は若手として林遣都さんや営業考査部長を佐藤B作さん、その部下になるのかな?矢島健一さん、梶井常務の同期の取締役の勝村正信さん、あと秘書として真飛聖さんが主要なキャストです。

原作では最後まで頑張ったのは12人だったようですが、ドラマでは7人になっていますね。

 

ドラマの感想ですが、ドキュメンタリーとしては?がいくつも付きますし、突っ込みどころもあります。それに映画よりは長いかも知れませんが、尺のあるドラマですからね。端折り気味なのも仕方ありません。

しかし社会派ドラマとしてはそこそこ楽しめるレベルにあるドラマだと思います。少なくともわしは楽しく視聴させて頂きました。

 

それから業務管理部のメンバーの奮闘ぶりや、葛藤などは良く描けているんじゃないですかね。役者さんたちの熱演ぶりも良かったです。わしも思わずうるうると来た場面もありました。

ただこういった良識のある方たちにこのような仕事をさせてはいかんですな。もっと早く会社の中枢で活躍していれば山一證券はつぶれなかったかも知れません。

でも山一證券も最後にこういう方たちが残って良かったですね。それだけが救いだったかも知れません。

まあ実際にはモデルの常務の方も、そこまで出世するぐらいですから多少なりともえげつない営業をやって来ているとは思いますけどね。

 

あと山一證券をめぐって殺人事件が起きたのもちゃんと描かれていましたね。と言うかわしはすっかり忘れておりましたが。

いずれにしても闇はもっと深かったかも知れません。

 

個人的に印象的だったシーン!

個人的に印象的だったのが、山一のドンと言われた方がモデルと思われる、岸部一徳さん演じる有原元会長への聞き取りのシーンです。

「私だって株価の低迷がこんなに続くとは思わなかった」

と言うセリフがありましたが当時はみんないずれは株価は戻ると思ってましたからね。わしも1993年ぐらいまではそう思っておりました。

「私は誰よりも山一を愛していた。日本経済のために四大証券の一角をつぶしてたまるかと言う気持ちでやって来た」

と言った感じのセリフもありました。まあ実際に当時の山一證券のえらいさんたちは皆、こう思っていたでしょうね。法的、倫理的にはもちろん正しくなかったし、結果としてもっと早く損切りしていれば・・と言うことですけどね。

それと聞き取りが終わった後に「車を用意しましょうか」と言う申し出を、「いや、もう関係ない人間だから」と断って駅へ歩いて行く有原元会長を、深々とお辞儀をして見送る梶井常務の姿が印象的でした。

 

山一證券のじほうと業務管理部

それから「しんがり」を見て思ったのが、業務管理本部長を常務がやるのかな?と言うことです。

業務管理部とか売買管理部と言うのは営業から外れた、言葉は悪いが掃きだめのような部署ではないんですかね。ですので末席の取締役がこの手の部は見るような気がしますが。わしがいた会社でもそんな感じでした。

当時はわしも営業でしたので、この手の部署から電話がかかってくるとボロクソ言ってましたけどね。

「忙しい!そんなもんやっとれるか!」とか「ならお前がやれ!」と言うような意味の事を言った記憶があります。もちろんここまでストレートな言い方ではないですけどね。

でも今となっては恥ずかしい限りでございます。

 

ただドラマの中で業務管理部のメンバーが、通称「じほう」と言われる事業法人部の聞き取り調査や資料を探すのに苦労するのは良く分かりましたね。

山一はかつては「法人の山一」と言う異名を取っていました。その中心で、最も稼ぎ頭なのが事業法人部ですからね。山一の中でも選りすぐりのエリートと言うか実績を上げた営業マンしか「じほう」には行けないはずです。

勝てば官軍、数字をあげた人間が一番偉いと言う業界ですからねえ。直接聞き取り調査と言っても不可能に近かったかも?少なくとも現実はもっと苦労されたと思います。

ただこのあたりはさすがにオブラートに包まないとドラマにならないでしょうね。でもその範囲ではありますが、よく再現出来ているなと思いました。

それと大手証券の営業のえげつなさを表すセリフもありましたが同じくストレートには表現出来ないと思います。

 

最後に・・

今回はドラマ「しんがり~山一證券最後の聖戦」を見た個人的な感想と印象に残ったシーンなどを紹介させて頂きました!

山一證券も掃き溜めに鶴と言ったら失礼かも知れませんが、最後にしんがりメンバーのような社員が残っていて良かったですね。

それと原作のしんがりも読んでみたくなりました。近いうちに時間を作って読まないといけませんな。

追記 ドラマの原作の「しんがり~山一證券最後の12人」を読みました。やはり原作の方が深いですね。もちろんどちらも面白いですけどね。