2019年2月8日、堺屋太一氏がお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈り致します。
享年83歳と言うことで、天寿を全うされたと思います。ただ個人的にはもう少し活躍して頂きたかったと言う思いはあります。
わしも最近は読んでいませんが、氏の著書は証券マン時代に何冊も読ませて頂きました。むさぼるように読みましたが氏の見識には驚かされたものです。
中でも個人的に最も感銘を受けたのは「現代を見る歴史」ですね。もう古い本ですので氏の著書の中でおすすめとまでは言えないかも知れませんが、今回はこの本を紹介したいと思います!
堺屋太一氏とはどんな人だったのか?
堺屋太一氏は1935年生まれですね。昭和で言うと10年です。
東大卒業後、当時の通産省に入省されます。言うまでもなくエリート中のエリートですね。その後、1970年には大阪の万国博覧会のプロデューサーとして成功に導きその名を轟かせます。
驚くのはこの時まだ35歳だったと言うことですね。あと1975年~76年の沖縄海洋博も手掛けられたとのこと。これはわしは初耳でした。
通産省の官僚時代にはすでに作家としてデビューされていましたが、1978年に退職後は作家だけでなく評論家、そして博覧会のプロデューサーなど多方面で活躍されます。
そして1998年には小渕内閣の経済企画庁長官として入閣されます。このまま政治家としても活動されるかと思っていましたが、それはなかったですね。個人的には政治家としても活動して頂きたかったと思いますが。
また大学教授、学者としての一面もあります。しかしわしのような何も出来ない人間から見ると羨ましいです。ほんの少しでも氏の才覚を分けて頂きたいですな。
有名な著書
通産省時代からすでに作家としても活動されていましたが、やはり本格的に執筆活動をされたのは退職後でしょうね。
デビュー作となる「油断」や「団塊の世代」などの現代と言うか近未来を予測した作品も多いですが、歴史小説も有名ですよね。私個人は「豊臣秀長」が一番印象に残っています。
と言うか他も詠んだはずですが、この作品ぐらいしかあまり記憶にないのが本当の所です。
ただ「峠の群像」と「秀吉」はNHKの大河ドラマの原作になりましたからね。小説家としても超一流であったことは間違いないでしょう。
あと忘れてならないのは社会評論でしょうね。最も有名な著書は「知価革命」だと思いますが、その他にも「日本人への警告」、「歴史からの発想」など多数の名作があります。
そしてやはり氏の真骨頂はこの分野になるんでしょうね。
「現代を見る歴史」でバブルの崩壊を予言していた?
わしも堺屋太一氏の著書は一時、貪るように読みました。中でも一番印象に残っていると言うか感銘を受けたのが「現代を見る歴史」です。
もちろん単純に読み物としても面白いですが、頭をガツンと叩かれたような感じですね。月並みな言い方ですが。
初版が出版されたのは1987年でまさにバブルの頃ですね。当然ながら氏が著したのはまだブラックマンデーも起きてないはずです。
目次は以下の通りです。
- 1章 戦後世界の構図―「米ソ対立」と「ペロポネソス戦役」
- 2章 乱世の組織と才人―「アイアコッカ」と「五代の宰相」馮道
- 3章 物質文明の落日―20世紀の「ローマ帝国」アメリカ
- 4章 経済大国の生き方と行く末―「弱兵の経済大国」宋王朝と次代の日本
- 5章 「一君万民」の思想と現実―毛沢東の中国と朱元璋の明朝
- 6章 人事圧力シンドローム―豊臣政権に見る「成長組織」の陥穽
- 7章 「二代目」の難しさ―「戦国」が残す二代目への処方箋
- 8章 世界大恐慌の教訓―日本の「マネーブーム」と「大恐慌」前夜
- 9章 日本型組織の美風と破綻―「太平洋戦争」と「日米経済摩擦」
個人的には1章と3章、そして特に8章が印象に残っています。
まず1章ですが当時の米ソの対立をアテネとスパルタに比較しながら論じています。そして3章はアメリカをローマ帝国に比しています。この当たりは今読んでも普通に面白いと思います。
そして8章ですね。1929年から始まった大恐慌と日本のバブルの当時の状況を比較して警鐘を鳴らしておられました。そしてそれは氏の杞憂に終わらず現実となってしまいました・・
わしが読んだのは確か92年ぐらいだったと思います。この章を読み終えた後、わしは悔しくて思わず机を叩いてしまいました。
もう少し早くこの本を読んでいればねえ。大げさかも知れませんが、わしの人生も違ったものになっていたかも知れません。
証券会社の営業マンとしてオプションや空売りでヘッジしてもらいながら、出来る範囲でお客様を守れたんじゃないか、と思います。
最後に・・
今回は堺屋太一氏の著書の中で個人的に最も感銘を受けた「現代を見る歴史」を紹介しました!
たださすがに平成も終わろうとしている今の時代におすすめかとなると・・何とも言えないですけどね。他の著書の方がおすすめかも知れません。
ただ今読んでも章によっては普通に読み物として面白いと思いますけどね。歴史が好きな方であれば読んで見ても良いと思います。
残念ながら2019年の2月にお亡くなりになれてしまいましたが、出来ることならもう少しご活躍して頂きたかったです。